ときは満ちた。
勇者はフローラの自宅へと向かう。
一晩悩み抜き、偽りのない想いを胸に刻んだつもりだったが、その足取りは拭いきれない思いを断ち切ろうと必死だ。
フローラとビアンカ……
フローラパパ「おっしゃ! どっちにするん? っておい! おまっ! ちょっ! お前の来るところやない!!」
ここで、見てくれは良いが、ワガママでどうしょうもないフローラの姉「デボラ」も嫁選び候補者に加わった。
「チャバンかましてんじゃねーよ……」
勇者は小さい声で呟きます。
こちとら本気で悩んでんだ……と。
繰り返しになるが、答えは最初から決まっていた。
しかし、花嫁の手をとる前に、全員に声をかけてみよう。
そして、最後に声を掛けた方が勇者のアンサーだ!!
と、ここまではチャバンです。
ついに私の答えを発表したい。
そう、私の心は決まっていた。
フローラに
純情可憐でいて絢爛華麗、一目惚れのエネルギーたるや凄まじいよい。
初めから決まっていたと分かったのは、
初めからビアンカを選ばない理由、いいわけを探している自分がいたからだ。
やれ、「レヌール城の思い出は綺麗なままにしておきたい」だ、「嫁選びには自分から参加してんのに」だ。
また、「可哀想だから」って理由で選ぶのもビアンカからしてみたら大きなお世話だろう。ちまたで有名な美人だし、余裕で良い人が現れる。『俺じゃなきゃ駄目だ』は勇者のうぬぼれ。
だからフローラ
さぁ君の手を取るためにAボタンを押そう。
押そうっ!!
押そっ!!!!!!
……押せねーーーーーッ!!!!!!!!
なぜ!!? なぜ押せん!!?
でもこれだけはわかる!!
もしここで画面をタップしたら俺の親指は折れる! そして魂が砕け散る!! とんでもない反力が画面上より発せられていることに!!!
心を決めた!! そうだろ?
迷いはない!! そうだろ?
……チリッ
脳裏をかすめる一縷(いちる)の思念。
『お前、まだドラクエがゲームだと思ってんだろ』』
私は、そっとゲームの電源を落とした。
次回!
次こそ本当にキミにきめた!!
ドラクエⅤ 〜天空の花嫁〜 嫁選び編④
みてね♡
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